意匠出願

革新的な技術発明には通常、長年の研究が必要で、さらにそれに伴うコストも発生します。しかし、そうしたものだけが特許で保護されるわけではありません。新しいデザインや製品の設計も、いわゆる「意匠」によって法的に保護することができます。そのためには、当該官庁での申請が必要となります。また、定期的に更新の手続きもしなくてはなりません。このようにして、グラフィックデザイナー、ファッションデザイナー、プロダクトデザイナー、インダストリアルデザイナーは、第三者の模倣から自分のデザインを保護しているのです。

定義:意匠

一般的にデザインは、線、形、輪郭、色、素材、形、表面構造で構成されています。製品デザインやファッションデザインなどにおける、製品やデザインの外観としてのこれらの特徴は、意匠を通じて法的に保護することができます。

意匠の保護期間は、出願日から最長25年ですが、5年ごとに個別に更新する必要があります。定期的な更新が行われていれば、当社のクライアントは意匠で保護された製品を独占的に使用する権利を有することになります。これには、当該デザインを使用した製品の製造、販売、輸出入、使用も含まれています。第三者が保護されたデザイン(関連製品を含む)を使用できるのは、法的に有効な許可がおりた場合のみです。

意匠による保護:どんなものが保護されるのか?

保護の対象となるのは、自動車や家具などの立体製品、平面デザインの場合はフォントやグラフィック、あるいは布地などです。意匠の出願には、「新規性」と「独自性」という要素が関連してきます。

保護されるべきデザインは新しいものでなければなりませんが、12ヶ月の猶予期間内にデザイナーによってすでに公表されたものでも構いません。さらに、既知のデザイン(すなわち「保護された形状」)とは異なる、独自の個性を有していなければなりません。

意匠の保護はどこで適用されるのか?

意匠の保護は、原則として出願した国において適用されます。ドイツでは、ミュンヘンのドイツ特許商標庁(略称:DPMA)に出願を提出します。

他国への販売や世界的な輸出入を行う際など、国境を越えた保護が必要な場合、欧州では欧州連合知的財産庁(略称:EUIPO)に登録し、EU全体に対して効力を有する保護権を取得します。EU以外の国では、世界知的所有権機関(略称:WIPO)に登録しなければなりません。各国内における意匠出願は、該当する海外の国でそれぞれ直接行うことも可能です。

意匠は誰が出願できるのか?

保護すべきデザインがあれば、原則として誰でも意匠を出願することができます。登録が完了すれば、第三者による違法な模倣からデザインが保護されます。RGTHの弁理士たちは、ドイツ国内外での意匠出願をサポートしています。また、意匠に関する最適な戦略について専門的なアドバイスも提供しています。さらに、意匠権侵害の際の訴訟支援や、第三者にライセンスを供与する際の管理も請け負っています。

特許と意匠の違い

「特許」と「意匠」は混同されがちですが、この二つの言葉は同義語ではありません。

意匠は外観や特定のデザインを保護するものであるのに対し、特許は技術や作業方法なども含めた発明を法的に保護する際に申請します。

当社では、特許と意匠の双方に精通した経験豊富な弁理士たちが、親身なサポートを提供しています。

意匠と実用新案の違い

実用新案は、いわば「簡易化された」特許です。実用新案は、特許と同様、技術的な発明に適用されます。ただし、実用新案により保護される期間は10年間に限られています。

一方、意匠は、ほとんどすべての工業製品または手工芸製品を保護することができます。第三者がそれらを使用できるのは、法的に有効な許可を得た場合のみです。意匠では、25年間もの保護期間が設けられています。

意匠の種類

すでに紹介した国内での意匠と国際的な意匠の他に、欧州共同体意匠と呼ばれるものが存在します。この欧州共同体意匠は、「登録共同体意匠」と「未登録共同体意匠」にさらに細分化されます。

共同体意匠

デザインが国内以外でも保護される必要がある場合、EU内であれば、欧州共同体意匠として登録することが可能です。この共同体意匠は、EU全域で有効となり、登録共同体意匠と未登録共同体意匠の2種類に区別されます。

出願は、欧州連合知的財産庁(略称:EUIPO)またはドイツ特許商標庁に提出します。

未登録共同体意匠

登録共同体意匠とは対照的に、未登録共同体意匠では、わずか3年間しかデザインを保護することができません。また、未登録共同体意匠の場合、所有者は外部の第三者に対して模倣のみしか禁じることができません。

EU全域におよぶこの権利を享受するためには、EU域内の専門家に対して、関連するデザインを十分に開示する必要があります。その手段としては、各産業分野の見本市への参加や国内での意匠出願などが挙げられます。

世界知的所有権機関(略称:WIPO)を通じた意匠の国際登録

EU域内だけでなく、世界レベルでの保護をクライアントが希望している場合、RGTHでは、専門の弁理士を通じてWIPOに意匠を出願することをおすすめしています。ここで言う「世界レベル」とは、最大67カ国のことを意味しています。なぜなら、意匠は国際意匠に加盟している国に対してのみ登録可能であり、当社の弁理士は出願時にその旨を示さなければならないからです。

その他の国に関しては、国内レベルの意匠を出願することが可能です。当社では、意匠による保護が望まれる国を選定するサポートも行っています。

意匠の出願

RGTHの経験豊富な弁理士たちは、意匠出願を行う前に、保護の対象となるクライアントの開発品の外観をそれぞれ入念にチェックし、そのデザインに適した出願のタイプをアドバイスしています。その後、国内または国際レベルで、DPMA、EUIPO、WIPOに意匠を出願します。出願は、個別出願と複数意匠一括出願の両方が可能です。

複数意匠一括出願

複数意匠一括出願の場合、複数のデザインをDPMAやEUIPOにまとめて出願するため、登録時に当該官庁に支払う費用が軽減され、個別に出願するよりもコストを抑えることができます。ただし、複数意匠一括出願のデザインは、すべて同じ製品カテゴリーに属していなければならず、他のカテゴリーと組み合わせて一括出願を行うことはできません。

意匠出願にかかる費用は?

デザインを保護するにあたり、選定する意匠の種類によって発生する費用が異なります。しかし一般的に、意匠の出願料や維持費は、特許よりも低く抑えられています。国内のみでの意匠出願が最もリーズナブルで、次いでEU域内での出願、国際レベルでの出願という順に費用が増していきます。

出願手数料の他、告示(公開)時に当該官庁に支払う手数料、ならびに5年ごとに保護を更新する際に支払う延長料が発生します。さらに、経験豊富な弁理士を通じて出願書類の作成や当該官庁への出願を行う際は、弁理士に支払う手数料も発生します。

意匠分野における当社のサービス内容

  • ドイツ国内、欧州全域、および国際レベルでのデザイン登録(意匠)、ならびに欧州外の国おける国内レベルでのデザイン登録
  • 対象デザインに関連した既存デザインの調査
  • 意匠(デザイン)に関する侵害訴訟、および模倣品・模作・隷属的模倣など競争法上の意匠関連紛争の遂行
  • 意匠出願とデザイン保護に関する戦略
  • DPMAおよびEUIPOにおける第三者の意匠に対する差し止め請求の遂行
Cookie Consent with Real Cookie Banner